針葉樹林 2022/1/2
山の事について考えている。
ここ兵庫県宍粟市の面積の90%以上が森林だ。そのうち、70%以上が針葉樹に覆われている。
50年くらい前に積極的に植えられた木が、密集しているせいでヒョロヒョロで育ちが悪い。
数十年前から安価な外材の輸入が増えた為、日本の木の価値が下がってしまい、
山に手を入れても儲からないので、間伐や枝打ちなどをしなくなった。
自治会内の山に入っても、建築材として取れる材はほぼない。
宍粟市も間伐をできる林業事業体をどんどん増やそうとしていて、
健全ではない山とは裏腹に理念のない補助金頼みの金儲け主義の事業体がどんどん増える。
さて、地元の山をどんな山にしていったらいいのだろうか。
答えは昔にあるのかと思い、江戸時代の山の事を調べてみた。
燃料革命前の日本では、エネルギーといえば木だけだった。
ここ宍粟市はたたら製鉄のルーツとされており、
天より「金屋子神」が舞い降り、白鷺に乗って出雲の地に行き、今では島根の安来が鉄のメッカとなっている。
山を切り崩し砂鉄をとり、その砂鉄をたたら製鉄するのだが、
一回の操業に炭を15トン、面積にして1.5ha分の材木を使ったとされ、
膨大な量の薪が必要な為、切り尽くしては30年おきに移動していたそうだ。
すなわち、江戸時代の山のほとんどが禿山だったので、保水力がなく山崩れが頻発したようだ。
そして、戦後、拡大造林政策がとられ、成長が早く木材に最適な杉や桧の針葉樹が植えられた。
ところが、外国産材の輸入が自由化され、価格の高い国産材よりも外国産材の需要が高まると同時に、
家庭用燃料が薪炭から化石燃料へと置き換わり、日本の森林資源は価値を失った。
そのために現在のような放置林が日本中に蔓延し、現在に至る。
緑が沢山あるのは良い事だが、針葉樹は根が1m。高く育ち根が浅いので倒れるリスクが高い。
また、広葉樹と比べ葉が落ちず、土の保水力がないので、針葉樹の密集した山は健全ではない。
その弊害として、針葉樹は実をつけない為、動物が定着せず、人里に熊や猪が来てしまう問題もある。
さて、今後、山の状態はどうあるべきなんだろうか。
建材と薪エネルギーを生み出す私からしたら、今後大きな課題になりそうだ。
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