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トロワパンの事 part⑩ 2024・11・5

今日は一粒万倍日。「一粒」蒔くと「万倍」に増える吉日。
天気が良い、一粒万倍日。今日秋蒔きのは麦の播種をする日だ。

良い日なのだが、悪い行動や、この日に借金などすると、倍になって返ってくるので注意が必要だ。

今年の麦は去年よりも播種する範囲もひろげ、多く播種して多収を狙う。
沢山収穫して、早く自家製麦のパンを焼きたいものである。

さて、フランスのパンの件の話、今日は10回目。
話を伸そうとすればいくらでも伸ばせるが、キリがないのでとりあえず今日で最終にしよう。

無事に一日目を終え、次の日はパン屋の職人の責任者である、ステファンと一緒に仕事をした。
ステファンの目つきは鋭く、とても無口で無駄なことは言わない寡黙な男だ。
そして、仕事は超一流だ。パンの捏ね方は、ガビンと違い手の動きがスムーズでパンを優しく手懐けているようだった。
「仕事ができる男」という雰囲気を体から発していた。

ステファンは、ルバンの事や、麦のことを色々と教えてくれた。
全てを翻訳機を介して訳したわけではないが、彼の愛情を感じることができた。
もちろん言葉も大事だが、目や表情、声のトーン、身振り手振りでのコミュニケーションで、
彼とは分かり合えた気がした。

そうこうしているうちに、23日くらい経ち、修行期間も数日になったある日。
私の送別会を開いてくれた。

私がパン屋に来た思いを皆さんに詳しくお伝えしていなかったので、
その日は、私の思いを長文の文章にして、麦の技術者のバスティアンに代読して頂いた。
私が日本語で読んだ後に、バスティアンがフランス語で読んで文章を披露した。
すると、バスティアンが読み終えた後、皆は沈黙した。
私の思いを聞いて感動してくれたみたいだ。イタリア人のアナは感動して泣きそうだったと。



日本語でのコミュニケーションは言葉をいえば伝わる。
しかし、外国人の場合言葉ができなければ伝わりにくいが、
自分の熱量や、体の内外から溢れ出す目に見えないもの、オーラというのだろうか。
言葉以外のもので相手に伝えることがわかったような気がした。

フランスのパン屋での、パンの捏ね方、ルバンの管理方法、薪窯での焼き方など、
御術的な面での勉強はもちろん、
言葉の通じない相手でも、自分の醸し出すもので伝えることができると言うことがわかったことが、
何よりもの収穫だったような気がする。
この経験は、今後、日本だけでなく世界の人との繋がりを広げることとなるであろう感覚を手に入れた。

パン屋では、日本を出国する前よりも想像を遥かに超えた収穫をし、パン屋の修行を終え、
Cucugnanを後にした

パン屋の件のブログは今日で終えることとする。

さて、時刻は朝の5時半。
ご飯支度をして、麦を蒔く準備をしよう。

では、連休明けの火曜日。楽しく良い一日をお過ごしください。

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