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古民家 2023/8/24

2050年時点で世界人口は約97億人にまで増加すると予測され、
現在の日本の総人口は1億2600万人。
2056年に1億人を割り込むと予想される。

先進国でありながら人口減少が進む日本。

建築で言えば、人口が増えない分、新築工事の着工件数ももちろん減る。

最近のウチの会社の建築事情といえば、
新築工事は全くなく、古民家改修工事がメインの仕事になっている。

石場建ての家しかしない。
石膏ボードや合板は絶対に使わないと誓ってから、はや6年くらいが経つだろうか。
あれからは純粋に木と土しか触っていない。

巷の建設会社も、新築工事から改修工事へシフトし、
生き残りの競争が激しくなってきているように思える。

そんな中、古民家再生を謳う工務店も多く出現し始め、
工法を無視した改修工事が見受けられるようになる。

一般的には建築後50年以上が経過した建物のことを古民家と呼ぶことが多が、
私はそうとは思わない。

私の定義では、石場建てであることが古民家の第一条件だ。

改修方法も、例えば、床を取っ払った改修工事だと、
写真のように、足固めを入れ強度を上げながら改修している。

予算にもよるが、基本的に金物を使わず、
木組みで足固めを完結させる。

おそらくだが、石場建ての構造を理解して改修している工務店は皆無に等しく、
いわゆる「なんちゃって」の改修工事をしているケースが多い。

なぜ、古民家が最近もてはやされるのかというと、
やはり、高寿命だからではないだろうか。

ではなぜ、高寿命になるのか?

その答えは簡単。やはり、石場建てだからだ。

近年のコンクリート基礎で家づくりをした場合、圧倒的に耐用年数が短い。
なぜなら、コンクリートには寿命がある。
それは、水セメント比によってコンクリートの寿命は決まる。
コンクリートはセメントの中性化で強度が保たれていて、内部の鉄筋が錆びない。
中性化がなくなると内部の鉄筋が錆び、錆びた鉄筋は膨張しコンクリートを壊してしまう。

水セメント比が
40%で9000年。
45%で630年
50%で240年の中性化が保たれるが、この数字は現実的ではない。

やはり、一般的なポンプ打設のコンクリートは、
大体が60%の水セメント比だ。
60%の水セメント比の中性化速度は60年しかない。

60年しか持たないコンクリートに、200年持つ建築を造ったところで、
やはり、60年しか持たない。
なので、私は基礎の上に家を載せる工法は採用しない。

やはり、礎石まで延びた柱に、足固が差さることで、
柱に曲げを発生させることが重要で、
さらに、足固の他の水平部材になる、
貫・差鴨居・差し敷居・胴差し・桁固めなどの水平部材のメンバーが増えれば増えるほど、
家の強度は増していく。

今流行りの古民家だが、ただ古い古民家が良いのではなく、
古民家になるための、伝統構法の要素が入った造りが良いのである。
石場建ての場合、たとえ柱が傷んだにしても、
上の写真のように継いで直してやればまた何年でも使い続けることができるわけだ。

なので、ただの流行りに乗るのではなく、
物事の本質を見極めた上で行動したいものである。

さて、今日も古民家の改修の工事は続く。
今日も楽しく一日を暮そう。





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