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木の幹④

フランスへ

パンは、突然やってきた

あるとき、急に。

「パン」が、頭の右斜め上、

30センチくらい離れたところに降りてきた。

パンが降りてきた。
けれど、
理由はない。計算もない。
パンが特別好きなわけでも、昔からパンを焼きたかったわけでもないのに、パンが降りてきた。


私たち夫婦は、すぐに動いた。
東京にいる妻の先輩のパン屋さんに連絡し、

教えを乞いに向かった。

迷いはなかった。やると決めたら、即行動。

それが私たちのやり方だ。

開業、そして違和感

パン屋を開業した。

通販も始めた。

少しずつ、お客様も増えた。

けれど、どこかで思っていた。
「これは本質だろうか?」

売れるパンではなく、

流行のパンでもなく、

本当のパンを届けたい。

その想いが、日に日に強くなった。

パンといえば、フランス。
「パンの本質を知りたい」

そう思った瞬間から、

私は、Instagram、インターネットを片っ端から。

ただ有名な店ではない。

「何かがある」店を。

薪窯・古代小麦・自家栽培の麦
写真の奥にある空気。

画面越しに、匂いを嗅ぐように。探し回り。
行き先も決めず、私たちは、先に飛行機のチケットを購入した。
どうでも行くしかない状況を自ら作り出したのだ。

そして、南フランスの小さな村に辿り着いた。

南フランスの、地図にも大きくは載らない小さな村。

そこは、絵に描いたような美しい村だった。

帰国後は、借りている土地にパン屋を建設しようと思っていたが、
その思いも吹き飛ぶくらいの素晴らしい場所だった。
このことが、のちのパン屋づくりが大きく変わるとはその時は思わなかった。


私の覚えたいパンは「アングラン」一択だった。
アングラン(Einkorn/一粒小麦)は、

約1万年前〜1万2000年前にメソポタミア(肥沃な三日月地帯)で、
人類最古級の栽培小麦古代小麦はヨーロッパ各地に広がり、

地域ごとに細々と受け継がれてきた。
現代のパン小麦のグルテン量14に比べ、アングランは3.95と圧倒的にグルテン量が少ない。

アングラン(アインコーン・ヒトツブコムギ)

アミドニエ(エンマー・フタツブコムギ)

・Grand Épeautre

・Engrain / Petit épeautre

・Khorasan

・Rouge de Bordeaux

・Barbu du Roussillon

・Pétanielle Noire de Nice

・Seigle

私が渡った南フランスの地でも種が継がれていたのだろう。
なので、低グルテンの作るのが難しいパンの製法が地域の中で自然とその麦に合った製法が磨かれてきたのだろう。

心配して渡ったフランスだったが、その心配もよそに、
総勢14人のパン屋のスタッフは私を暖かく迎えてくれた。

そして、行ってから知ったが、15種類もの古代小麦を扱う、世界でも他にないくらいの、すごいパン屋だった。


私は、せっかく10000キロも離れた場所にきて、休むのは勿体無いと、
休日返上で、インターンの期間を過ごした。
日本語以外の言語を話せない私は、コミュニケーション能力があるのか、若干のiPhoneの翻訳機能と自分の感覚だけで乗り越えた。

正直なところ、当初、日本でのパンの販売は妻が作ったパンだった。
なので、パン作りは、今回のフランスで初めてだったのである。


作業のことなので、大工の丁稚のころの見習いの期間を過ごして、
身についていたのか、作業を見ながら、参加することは得意だった。
初めてのパン作りが、フランスだったが、持ち前のコミュニケーションと、負けん気で、難なくインターンを終えたのである。
私の人生の中でも、とても思い出深いフランスの時間だった。

この旅で得た大きな事といえば、やはり、
パンの味、
ルヴァンの管理。
パンの製法はもちろん、
フランス人の暖かさ。

言葉がなくても、「心」があれば通じるという確信だった。
心は、世界共通だ。
それが、フランスで得た最大の収穫だった。

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