墨付け① 2021/12/20

安く早くという合言葉と共に建てられる現在の住宅。
しかし、プロの視点で見れば、粗悪で見れた物ではない。
でも、何が違うかと言うと一般の方では理解がしにくいかもしれない。
遠目で見れば同じ家に見えるし、細部の仕口は組まれてしまったらわからない。
現在の木造で建てられる100%に近い家の数々は、プレカットと言われる、
機械化された工業製品だ。コンピューターに図面を入力し、機械がすべての加工を行う。
しかし、我々の建てる家は、一本一本木を削り、木の背と腹を見極め、墨をつけて刻んでいく。
そこで何が違うのかと言うと、機械で刻んだ場合、
仕口自体がゆるいので必ずボルトで固定しないといけないのに対し、
我々の仕事では、木の摩擦、すなわち、コゼで持たせ、柱と水平部材の接合部は、
もちろんボルト類は一切使わずコミセンや端栓などで固定する。
すなわち、我々伝統構法の大工の仕事は、すべての接合部は木の摩擦で効かしたり、
引き寄せたりというのが仕事だと思っている。
いわゆる「栓を引く」栓引き屋だ。
なので、プレカットで建てられる家と我々が建てる家では全くの別物だと理解頂きたい。
さて、ここ数日は我々が携わる家の墨付けの工程を少し深く掘り下げて紹介したい。
先ずは、我々の使う構造材は、集成材や人工乾燥材は死んでも絶対に使わない。
なぜなら、人工乾燥材は木の細胞が死んでるし木の油分がないので耐用年数はグッと下がる、
集成材に関しては、もはや木ではなく化学物質の塊だ。
伐り旬、すなわち、秋の彼岸から春の彼岸までに伐られた木を使う、なぜなら、その時期の木は養分をあげていないので、含水率も少なく虫も入りにくいからだ。その木を夏を越させ、1年間ほど自然乾燥する。


乾燥された材は分決めと言って、直角を決める機械を使い分決めをする。

直角に決められた材は分を決める。

梁材も同様に荒の部分を削り八角形に削られる。



このように加工され、いよいよ墨付けの工程に入っていく。
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