墨付け② 2021/12/21
適材適所と言われる言葉があるが、大工の場合、それには大きな意義がある。
主に杉と桧を使い分けていくのだが、木と言っても径の大きな木から小さな木、
曲がっている木から、まっすぐな木。
曲がっている木でも、背を上にして使うのか、下にして使うのかで、意味合いが大きく違ってくる。
木の背と腹という表現はお分かり頂けるかな?
例えば山に向かって、リュックサックを背負ってる人が居たとして、
見たそのままで、山側が腹、谷側が背になる。
さて、材料加工を終え、墨付け刻みに掛かる前に重要な工程が二つある。
一つ目は、看板板と言われるもので、木の板に描かれた図面だ。
地域によっては、手板とか図板とも呼ばれる。この地域では看板板だ。
その板には、各それぞれの伏せ図が描かれていて、例えば、柱が記された物、
桁が記された物いろいろとある。
看板板のX軸にいろは。Y軸に一ニ三が描かれていて、これも地域によって描き方は様々で、
この地域ではのぼり番付と言う描き方が多く使われる。
このお宅では屋根がむくり屋根になっていて、むくりの10分の1の図面も描いている。
さて、看板板が出来ればもう一つ刻みに欠かすことができないものがある。
それは間竿だ。家には「間」という寸法があり、その間は地域によって異なる。
それが関西間とか、関東間とか、九州四国間と呼ばれ、一間の半分の間中と言われる寸法が、
関西間で3.25尺
関東間で3尺
九州四国間で3.15尺になる。
余談になるが、この寸法は最近できた寸法で、実は、以前までは畳に合わせて家が作られいていた。
その畳の寸法が関西間で、3.15尺×6.3尺なのである。つまり、8帖の場合、
3.15×4=12.6尺+4寸柱=13尺÷4=3.25尺という事で、その寸法が使われている。
間竿にも種類があり、矩計の間竿は建ち間竿と呼ばれ、建物の高さを記したもの、
屋根の小屋部分を記したもの、
あと、平面用のX軸、Y軸の間竿の数種類が作られる。
それは、尺ごと、間中ごと、あとは必要寸法の印がつけられ、
どこに振り回しても寸法が変わらないように精密に作られる。
非常時用の意味もあり、二本同じものが作られる。
さて、用意が出来たらこれにて墨付け作業が始まる。
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